消費税率が混在している短期前払費用の消費税の取扱い

消費税が8%から10%にあがりました。そこで今回は保守料(地代家賃も同様)について複数税率を含む場合(10月以降を含む場合)の年払いをしたときの処理方法についてみていきましょう。

※経過措置によって10月以降も8%となる場合を除く。

《結論》

短期前払費用の規定(法人税基本通達2-2-14)により支出した事業年度に損金とする場合の消費税の取扱いが問題となってきます。そこで、短期前払費用として処理した場合の消費税について確認します。

【具体例】決算月を9月とします。

 6月に保守料(地代家賃)として税抜120,000円の支払いをした。

  6月~9月分:40,000円+3,200円(8%)=43,200円

       10月~5月分:80,000円+8,000円(10%)=88,000円 

       合計131,200円

このような場合の処理の仕方には2種類あります。

① (原則)10%の消費税は仮払金として処理し、翌期に仮払消費税に振り替える

《当期の処理》

保守料(地代家賃)120,000円 現金131,200円

仮払消費税          3,200円(9月までの消費税)

仮払金     8,000円(10月以降の消費税)

《翌期の処理》

仮払消費税 8,000円  仮払金  8,000円

② (例外)当期は10%分も含めて、一旦、支払額全体を8%で処理する

翌期において、前期において10月以降の10%部分を8%で処理した金額をマイナスし、改めて10%に訂正して処理する。

《当期の処理》

保守料(地代家賃)121,482円  現金131,200円

仮払消費税    9,718円(8%として処理)←131,200円×8/108

 《翌期の処理》

保守料  80,000円        保守料 81,482円

仮払消費税 8,000円   仮払消費税   6,518円

※前期8%で処理した分を仕入返還があったものとして、一旦マイナス処理をして、本来の10%を改めて処理しなおす。

《詳細の検討》

ここからは、なぜ具体例のような処理になるのかを確認していきますが、国税庁のQ&Aを参照していきます。処理する上での根拠となってきます。

平成30年10月国税庁消費税室が公表した消費税のQ&Aの問7にて、次のように記載されています。

(短期前払費用として処理した場合の仕入税額控除)

問7

当社(3月決算法人)は、平成31年3月に、平成31年4月から平成32年3月までの1年間の保守契約を締結し、同月中に1年分の保守料金を支払いました。

この保守料金は月極めであり、契約期間が31年施行日(平成31年10月1日)をまたいでいることから、適用税率は次のとおりとなっています。

・ 平成31年4月から9月分までの保守料金には旧税率(8%)

・ 平成31年10月から平成32年3月分までの保守料金には新税率(10%)

当社は、この保守料金について平成31年3月期の法人税の申告において、法人税基本通達2-2-14《短期の前払費用》を適用し、その保守料金の全額をその支払った日の属する事業年度において損金の額に算入することとしています。

ところで、消費税の課税仕入れの時期についても、基通11-3-8《短期前払費用》の規定により、その支出した日の属する課税期間において行ったものとして取り扱うこととされていますが、この場合、当社は平成31年3月課税期間の消費税の申告において、当該保守料金の仕入税額控除の計算はどのように行えばよいのですか。

【答】

 平成31年3月課税期間に係る消費税の申告においては、

・ 平成31年4月から9月分までの保守料金(旧税率(8%)適用分)についてのみ、仕入税額控除を行い、

・ 平成31年10月から平成32年3月分までの保守料金(新税率(10%)適用分)に係る消費税等相当額については、仮払金として翌期に繰り越し、翌期の課税期間に係る消費税の申告において、新税率(10%)により、仕入税額控除を行うこととなります。

なお、1年分の保守料金について旧税率(8%)により仕入税額控除を行う場合には、翌課税期間において、新税率が適用される部分(平成31年10月分から平成32年3月分)について8%の税率による仕入対価の返還を受けたものとして処理した上で、改めて新税率(10%)により仕入税額控除を行うこととなります。

 (注) 31年新消費税法の規定は、31年施行日以後の課税資産の譲渡等に適用されるものであることから、31年施行日前の課税期間に係る消費税の申告においては、新税率による申告ができないため、照会の場合においては、上記の方法により消費税の申告を行うこととなります。

解説

短期前払費用の規定により法人税で処理した場合、増税の時期をまたぐことになります。このような場合は8%と10%が混在することになります。また、消費税の課税仕入れの時期についても、基通11-3-8《短期前払費用》の規定により、その支出した日の属する課税期間において行ったものとして取り扱うこととされていますので、どのように処理するのかが問題となってきます。

9月決算までは消費税の申告書において、そもそも、10%の税率に対応していません。

そこで、今回見てきた方法により処理することになります。

国税庁の答えの通りなのですが、もう少し略すと次のようになります。

まず、原則として8%部分のみ仕入税額控除、10%の消費税分は仮払金として処理し、翌期において10%を仮払消費税に振り替えて仕入税額控除をすることとされています。

なお書き以降は例外として、一旦、支払額全体を8%で処理し、翌期に仕入れに係る対価の返還等を受けたものとして処理した上で、改めて10%分の支払額(本体+消費税)の処理をすることで、10%分の仕入税額控除を行う処理でも良いとされています。

処理方法によって損益も影響することになりますので、検討したうえでどちらで行うかを決定するようにしましょう。

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