住宅ローン控除を考えてみましょう

住宅ローン控除の限度額は?

消費税が10月に8%から10%へ増税される予定となっています。消費税が8%のうちに土地建物を購入したいという方も多かったと思います。これは10%になってからの購入だと増税分だけ負担が生じてしまと思われていたためです。しかし、10%になってからでも損しないこともありますので焦らずに購入を検討していた方はあまり気にしなくても良い場合もあります。

まず、住宅ローン控除の限度額をみてみましょう。

住宅ローン控除=住宅ローン残額×1%(平成26年-平成33年(令和3年)12月31日まで)

住宅ローンの上限 ①4000万円(特定取得に該当する場合)

           ②2000万円(特定取得以外の取得)

例:特定取得に該当し、税抜3000万円で購入し、借入残が3000万円の場合

①8%で取得 : 3000万円×1%=30万円 が初年度の所得税から控除さ

                          れます。さらに消費税を240万と仮定します。

計算を簡単にするために毎年借入残額100万円返済したと仮定すると

 住宅ローン控除の総額は

  30万+29万+28万+・・・・・21万=255万円(期間10年)

 住宅ローン控除を考慮した支出(利息含まず)

  3240万円(消費税込取得費)-255万円(ローン控除計)=2985万円

 

②10%で取得 : 3000万円×1%=30万円のローン控除(初年度)、 

          消費税300万円と仮定します。

10%の取得の場合はローン控除が13年間になります。伸びた3年間は計算方法が異なります。

8%の購入と条件を同じにした場合

 住宅ローン控除の総額

  最初の10年は同じ255万円

  残り3年間は下記のいずれか少ない金額になります。  

  20万+19万+18万=57万円 

  合計255万円+57万円=312万円

 住宅ローン控除を考慮した支出(利息含まず)

  3300万円(消費税込取得費)-312万円(ローン控除計)=2988万円

この時点で3万のみの損になります。

しかし、取得した建物が「エコ住宅・長持ち住宅・耐震住宅・バリアフリー住宅」に該当する場合は30万円分相当、さらに性能の高い住宅の場合は5万円相当のポイントが申請することでもらえます。

このポイントは健康関連商品や家事負担軽減に資する商品などと交換ができます。

  詳しくはこちら ⇒ 国土交通省「次世代住宅ポイントホームページ」

上記条件の場合は3万円損となっていますが、ポイントを取得することで逆に10%のほうが得する形になります。

今からでも遅くないのでじっくり焦らずに住宅取得を検討しても良いでしょう。

※3月中に契約した方でも、工事着工が10月以降になる場合はポイント付与の対象となっています。

【参考】11年目以降の3年間の計算方法

11 年目以降の3年間については、消費税率2%引上げ分の負担に着目した控除額の上限を設定します。   

具体的には、各年において、以下のいずれか少ない金額を税額控除します。    

 ① 建物購入価格の 2/3%   

 ② 住宅ローン年末残高の1%

  ⇒3年間で消費税増税分にあたる「建物購入価格の2%(2/3%×3年)」の範

  囲で減税を行います。ただし、ローン残高が少ない場合は、これまでどおり

  住宅ローン年末残高に応じて減税します。

 

住宅ローン控除が特定取得に該当していますか?

つぎに特定取得とはどういったものをいうのでしょうか。

【特定取得】

住宅の取得等の対価の額又は費用の額に含まれる消費税額等が、8%(10%)の税率により課されるべき消費税額等である場合におけるその住宅の取得等をいいます。

【解説】

これは、売買において8%の消費税が課税されるべきものかどうかで判断します。今はもうないですが消費税が5%のもの、そして、個人間の売買契約により住宅の取得等をした場合など消費税額等が住宅の取得等に含まれていない場合には特定取得には当たらないとされています。

ここで注意していただきたいのがひとつあります。

住宅ローンが2000万円以下の場合は上記の通り特定取得に該当してもしなくても上限は借入残になるので影響ありませんが2000万円を超えている場合は損をしてしまうこともあるかもしれません。

個人間の売買の場合は消費税が含まれていないことになる(売却した個人は消費税を納める義務がないため)ため特定取得にはそもそも該当しません

新築の場合は個人間でのやりとりはほぼ無く建築費用が消費税8%(10%)になるため特定取得に該当するため問題はありません。

不動産事業者が直接所有する中古物件を購入する場合には注意が必要になります。注意することとしては、不動産売買契約書に消費税分の記載があるか確認をしてください。仮に消費税が0円と記載があるような場合は特定取得に該当せず住宅ローンの上限が2000万円になってしまう可能性が大きいです。これが特定取得に該当する場合は4000万円が上限となります。

よほど建物が古かったり状態が良くない場合を除き建物の価値が0円ということは無いと思われるので消費税が含まれているはずです。いくらが建物の価値として適正なのかは判断が難しいのでそこまでは考えなくても良いかもしれませんが、仮に0円という契約書を見た場合は業者に確認してみてください。また、購入の際に支払う仲介手数料は住宅ローン控除の対象となる住宅の取得費には含まれませんのでご注意ください。

仲介手数料の裁決事例

仲介手数料が住宅ローン控除の対象となる取得費に含まれないという裁決がありますので参考にしてください。

裁決の概要を記載します。なお、これは消費税が5%から8%になったときに特定取得に該当するかどうかを争ったものになります。

《ポイント》

 物件の購入者がその居住用家屋の取得の際に支払った仲介手数料は住宅の取得等に係る対価の額又は費用の額には当たらないから、当該家屋の取得は特定取得には該当しないとしたものです。物件の購入者は建物については個人間売買のため消費税の負担がないが、消費税が8%の仲介手数料を支払っていることから特定取得に該当すると主張しましたが、仲介手数料は住宅ローンの控除対象になる住宅の取得等に係る対価の額に該当しないため特定取得に該当しないとされました。

 住宅の取得のみとっても判断を間違うと処理を間違ったり損をすることもありますので契約書についてもしっかり確認をするようにしてください。

 国税不服審判所のホームページに詳細が記載されています。下記URLから閲覧し参考にすることができます。

http://www.kfs.go.jp/service/JP/112/03/index.html

 

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