医療法人が支出する交際費は、基本的に医療法人の損金(経費)として税務上認められることとなっています。その中で明らかに個人的支出と認められるものは、交際費からは税務上除外されるという考えになってます。
持分あり医療法人と持分なし医療法人では取り扱いが異なるので、それぞれ確認していきましょう。
~持分あり医療法人の交際費の取扱い~
まずは、持分あり医療法人の交際費の取扱いについてですが、原則として、その全額が損金不算入とされていますが、下記の一定の措置が設けられています。
(1)期末の出資金の額が1億円以下である等の法人(注)
損金不算入額は、次のいずれかの金額となります。
①飲食に要する費用の50%に相当する金額を超える部分の金額
②800万円(事業年度が12ヶ月の場合)を超える部分の金額
(2)期末の出資金の額が1億円超である等の法人
飲食に要する費用の50%に相当する金額を超える部分の金額
(注) 資本金の額又は出資金の額が5億円以上の法人の100%子法人等は、平成22年4月1日以後に開始する事業年度からは、上記(1)ではなく、上記(2)に従って損金不算入額を計算します。
出資金が1億円以下である持分あり医療法人では、実務上は上記(1)②の規定により、交際費のうち800万円までを損金算入として取扱うことがほとんだと思われます。
~持分なし医療法人の交際費の取扱い~
一方で、出資金を有しない持分なし医療法人においては、税法上、出資の金額に準ずる額というものが定められており、これを出資金の額とみなして、上記(1)、(2)の区分判定を行います。
<出資の金額に準ずる額>
(期末総資産簿価-期末総負債簿価-当期利益(または+当期欠損金))×60%
上記の算式のうち、期末総資産簿価-期末総負債簿価というのは、簡単に言うと法人設立時から現在までの利益(内部留保)になります。
すなわち、持分なし医療法人において利益が多くなり、出資の金額に準ずる額が1億円を超えると判定されると、交際非課税における800万円の控除が無くなってしまい、交際費として税務上経費として落とすことができる金額が(2)の飲食に要する費用の50%相当しか認められなくなるため注意が必要です。
今回は簡単にですが交際費の税務上の取扱いを確認しました。
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